fc2ブログ

Welcome

Atelier Iceberg Weblog

ARTICLE PAGE

「ミス・サイゴン」(帝劇)参戦記♪

今さらなのですが、ただいま日比谷の帝国劇場で上演中の「ミス・サイゴン」を観て参りました。

「ミス・サイゴン」と言えば、本物のヘリコプターが登場する大掛かりなセットで知られておりますが、前回の公演(2004年)の時も、オリジナル演出はこれが最後かもしれないということで、ずいぶんと通ってしまいました。

そして、今年「オリジナル演出版での上演は、世界で日本のみです。」というコピーにうっかり煽られて(苦笑)、またまたチケットを取ってしまった私。

今回は、実家の母が「ミス・サイゴンが、観たいわ♪」と言ったという大義名分のもと?、耳の肥えた母のために、一番歌の上手そうなキャスト(市村エンジニア、新妻or笹本キム、井上クリス、岡or坂本ジョン、ほのかエレン)で探してみました。

というわけで、取ったのが7月29日(火)のソワレ。
母のために、奮発して良いお席をGETしました。
ところが、なんとその日は、人間ドックで入院の真っ最中…。ドックの日だとすっかり忘れていたおばかな私です。夜の公演でホントよかった…(汗)。病院に外出届けを出して、行って参りました。

当日のプリンシバル・キャストです。

○エンジニア=市村正親
○キム=新妻聖子
○クリス=井上芳雄
○ジョン=坂元健児
○エレン=鈴木ほのか
○トゥイ=神田恭兵
○ジジ=池谷祐子

以下、キャストに関する感想です。
ネタバレOKな方のみ、クリックしてくださいね。


まずは、エンジニアの市村さん。
初演からずっとエンジニアを演っていらっしゃるだけあって、言うことなしでした。さすがに、以前ほどのパワフルさはなくなりましたが、緩急自在な演技で縦横無尽に舞台を走り回り、たった一人の場面でも舞台に隙間を感じさせません。

いいかげんで利己的で自分勝手、でも、フランス人との混血という宿命を背負って生まれた悲哀も感じさせる、とても魅力的なエンジニアでした。

市村さんより歌が上手かったり、ダンスが上手な役者さんはいると思うのですが、客席の空気の掴み方があれほど上手い人はなかなかいませんね~。こういう人をエンターテイナーと呼ぶのだな…と感じます。母が一番絶賛していたのは、やはり市村さんでした。


キムの新妻聖子ちゃん。
前回の公演からからの続投。前回のキム(聖子ちゃん・松たか子さん・笹本玲奈ちゃん・知念里奈さん)の中でも、私が一番好きだったのが、聖子ちゃんと松さんのキムでした。素直で美しい歌声が、清らかで健気なキムに重なります。

聖子ちゃんのキムは、母としての強さにはやや欠けるようにも感じますが、クリスへの痛々しいまでの思慕が切なかったです。初めての恋を知った喜びや、疑うことを知らず、ただ一途にクリスだけを愛し続ける姿が、胸に迫りました。

クリスとの恋、そしてその愛の証(タム)を守るためなら、人を殺め、身体を売ること、自分の命を絶つことさえも厭わないという、盲目的で激しい愛。

親を目の前で殺され、行き場もなく、貧困に喘いでいたキムは、極限状態の中で出会ったクリスに一筋の光を見出したのでしょう。地獄を見たキムの、たったひとつの夢が、クリスとの愛だったんですね。


クリスは、ミュージカル界のプリンス・井上芳雄くん。
こちらも、前回に引き続きのクリス。歌の上手さは折り紙つきですし、さすがに数々の大舞台に立っているだけのことはありますね。キムとエレンの板ばさみになり、悩めるクリスの心情をうまく演じられていました。

ただ、クリスという役が井上くんに合っているのかなーと考えると、ちょっと微妙。井上くんのクリスは、キムと同世代に見えるのですが、役の上では何歳くらいなんでしょう?大使館のドライバーというのだから、20代前半か半ばくらいかな。

台詞からは、17歳のキムよりはかなり年上だと感じるのですが、10代でまだ恋も知らなかったキムと恋に落ちるアメリカ兵にしては、少々若すぎるような印象を受けました。エレンとの並びを見ても、エレンがうんと年上の奥さんに見えますし。

もう少し、大人っぽさと線の太さ、男くささが欲しいです。私は、今回のキャストには入っていませんが、石井一孝さんの方がクリスに合っていたようにも思いました。まあ、このあたりは好みかもしれません。


クリスの年上の友人・ジョンは、坂元健児さん。
うーーーん、ちょっと感想書くのが難しい。何しろ、初演&再演と、私の大好きな今井清隆さんも演じられた役なので、やや辛口になることをお許しください(汗)。

四季出身の俳優さんで、歌は文句なしの上手さ。ジョンも巧みに演じておられました。ただ、やっぱり声質が高いのがね~、ちょっと苦手かも(笑)。これも、好みとしか言いようがないのでしょうけれども、もっと貫禄が欲しいです。

特に2幕の幕開きの「ブイ・ドイ」は名曲ですし、今井さんや、園岡新太郎さんの歌(初演版CD)を聴き慣れた耳には、なんだか軽いなーと感じてしまいます。

歌って、上手いだけじゃ駄目なんですね。坂元さんには、アンジョルラスの時にも感じたのですが、なんと言いましょうか、もう少しカリスマ性が欲しいと感じてしまいます。ファンのかた、ごめんなさい。


エレンは、初演メンバーでもあるベテラン・鈴木ほのかさん。
井上クリスとは、ずいぶんと年の離れた夫婦じゃないでしょうか(爆)。声の美しさ、表現力、もう言うことなしのエレンなのですが、ただクリスとの並びが…(汗)。

クリスがますます未熟な若者に見えちゃって…。夫婦というよりは、まるで姉弟みたいでした。井上クリスの奮闘を望みます(笑)。

石井さんや岡幸二郎さんがクリスだったら、ちょうどいい感じだと思うのですが。クリス役は他のキャストも若いので、どんな感じなのかな~。井上クリスだったら、前回の高橋由美子さんやANZAさんが、似合っていたように思います。

それにしても、エレンって本当に賢くてよく出来た奥さんですよね。だいたい、クリスと一緒にバンコクに来ることじたい私ならできないだろうし、あんな風にキムと遭遇してしまったにも関わらず、落ち着いた態度を取ること出来るなんて尊敬。

「一緒に暮らしたけれど、愛しているのは君だけだ」というクリスに、「あなたの子供を産んだひとよ」とたしなめるなんて、なかなかできませんよ。でも、心の中ではクリスを奪われたくないと葛藤する様が、人間くさくて好感が持てます。


トゥイは、神田恭兵さん。
今回、初めて拝見した方です。まだお若い方のようですね。

こちらも、前回の泉見洋平くんのこわーいトゥイ(爆)のインパクトが強いので、ちょっと物足りないかな~。まだ初日からそう日が経っていないので、硬い感じがしました。ベトコン出身で人民委員長に出世した男なので、キムを愛する激情だけでなく、もう少し貫禄と怜悧さが欲しいです。

ジジは、池谷祐子さん。
こちらも、初めての方。でも、とてもお上手でした。私は、ジジが歌う「我が心の夢」が大好きなのですが、よかったです~。貧困から抜け出して、アメリカでの豊かな生活に憧れるジジの心情が、ひしひしと伝わってきました。


色々と書きましたが、概ね満足のいく公演でした。やはり、舞台がよく出来ていること、本格的な装置、楽曲のよさ、そしてキャストのレベルの高さでしょうね~。何度も観ている舞台で、曲も台詞も全部頭に入っているので、もっともっとと上を望んでしまうのは、わがままというものでしょう(笑)。

こういう複数でキャスティングされている作品は、それぞれ好みのキャストや組み合わせがあると思うので、そういう公演を選ぶ楽しみもありますよね。

私は、前回の公演で、筧利夫さんのエンジニアがとても良かったので、次回は筧さんで観る予定です。後は、やはり!岡幸二郎さんのジョン♪です(笑)。岡さんも市村さん同様、実力と共にカリスマ性のある、まさしくスタアという言葉がぴったりの方ですから、是非是非岡ジョンを見なければ!と思っております。

私の大好きな今井さんはねー、実力は、もう申し分ないのですが、ややカリスマ性に欠けるかも(今井さん、ごめんなさい)。役が合えば凄いんだけれど、そうでないとうーーん…というタイプ?ただ、温かみがあって透明感のあるバリトンは神の声のように美しいですし、歌唱力は群を抜いて素晴らしいので、歌だけでも勝負できる人ではありますね。




病院が恵比寿にあるので、帰りに有楽町から山手線に乗ろうとしたら、なんと落雷のために不通になっていました(涙)。なので、また日比谷公園の方に舞い戻り、地下鉄の日比谷線で戻りました。都内は交通の便がいいので、こういう時には本当に助かりますねー。

前回の日記に書いた、山手線の不通に影響された一件とは、こういうわけでした(笑)。


それから、私は帝劇での東宝ミュージカルのソワレを観たのは初めてなのですが、終演後のロビーでアンサンブルの皆さまが出口まで一列に並んで、お見送りをしてくれました。

東宝ミュージカルはいつもそうなのかしら?それとも「ミス・サイゴン」だけ?とても嬉しかったです。「素晴らしかったです、ありがとう♪」と皆さんに声をかけさせて頂きました。

一緒に行った母も大満足で、特に市村さんが気に入った模様。市村さんの次回公演「キーン」のチラシをしげしげと見ていました。銀河劇場に行く気か?母。

とりあえず、年末の「ラ・カージュ・オ・フォール」(日生劇場)を、母へのクリスマスプレゼントとして押さえてあるので、それで市村さんを堪能してもらえるでしょう。何しろキャストが凄いので(市村さん・鹿賀さん・今井さん・森公美子さん・タータンなどなど)、こちらもめっちゃ楽しみです。

後は、11月からの「エリザベート」ですね~。ああ、また鈴木フランツに御目文字できるかと思うと、心が震えます~♪(そこか<爆)もちろん、かなめさんとコムちゃんという新エリザも楽しみです。特に山口×涼風の美声対決に期待。これに、鈴木フランツが加わると…(はあと)。コムちゃんが、どんな風にエリザを作ってくるかも、わくわくします。

そんなわけで、宝塚本公演だけでも忙しいのに、9月の日生公演や東宝ミュージカル参戦のため、秋はとんでもないことになりそうです。チケ代のために、お財布もとんでもないことに(爆)。

帝劇は、来年の6月は、井上×笹本コンビでの「ミーマイ」再演だそうですし、10・11月には「レミゼ」(今井さ~ん♪岡さ~ん♪)。うーん、頑張って働きます~(笑)。

そうそう、病院に帰ってから、NHK総合の「今宵ゴージャス」を見ることが出来ました。市村さん、新妻さん、井上くんがご出演。ちょうど同じキャストで観たばかりだったので、嬉しかった~♪前日は、やはり検査の合間に、部屋で、「徹子の部屋」にご出演の井上くん(歌付き♪)を観ることができました。

筧さんは、「ごちそうさま」へご出演でしたし、サイゴンキャストはあちこちの番組に露出しては、宣伝に努めているようですね。岡さんも、何かに出てくれないかなー(「ブイ・ドイ」付き、希望<笑)。

というわけで、「ミス・サイゴン」参戦記(笑)、長々と失礼いたしました。
関連記事

0 Comments

Leave a comment