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星組東京公演「愛するには短すぎる」

  • CATEGORY宝塚歌劇
  • PUBLISHED ON2006/ 11/ 05/ 23:29
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11月3日、千秋楽まで10日あまりを残した星組東京公演に出かけて来た。

宝塚の舞台は、花組「ファントム」以来、
ショーのある作品は、月組「暁のローマ/レ・ビジュー・ブリアン」以来である。
「ファントム」はもちろん楽しかったが、
ショー好きの私としては、久々に観る宝塚のレビューが楽しみでもあった。

今回の作品は、星組主演男役・湖月わたるさんのサヨナラ公演でもあり、
また、主演娘役の白羽ゆりちゃんも、この作品を最後に雪組に組替えになることもあり、
感慨深い思いで客席で開演を待った。

さて、お芝居は、正塚晴彦演出の「愛するには短すぎる」。
最近、やや不調…?と思われていた(私に<笑)ハリーであるが
今回の作品は、なかなかよく纏まっていたと思う。

サヨナラの演出は、「バロンの末裔」「追憶のバルセロナ」以来だと思うが、
ハリーって、つくづく「男のやせ我慢」が好きなんだなあ…と思った次第(笑)。
いや、私もそういう男って好きだからいいんだけれど。

孤児だったところを、大金持ちの養父に才能を見初められて、
引き取られたフレッド。
よい教育と恵まれた環境を与えられ、本人もまた努力をし、
美しい婚約者も得て、順風満帆に見える人生。

その彼が、英国留学からの船での帰国途上に、幼馴染でもあった運命の女性に出会う。
たった4日間の恋の物語。

おそらく、企画の最初から「船上での4日間の恋を描く」というのが
大前提にあったと思われるので
どうして、手に手を取って新しい恋に飛び込まないのか…
などと突っ込んでみても仕方ないとは思う。

しかし、私は、もし身分違いの恋を描くならば、
女が身分が上で、男が下…という方が面白いと思うのだが、どうだろう。

船を降りたら、フレッドは養父の会社を継いで
いいところのお嬢様と結婚するのだからいいけれど
バーバラは、借金こそチャラになったけれど、ミズーリで母親の介護生活が待ってるわけで…。

これが、バーバラがお金持ちのお嬢様で、御曹司との結婚を控えていて、
フレッドが借金を抱えた貧乏男なら「俺と付き合うより、この方が彼女は幸せだ」といえるけれど、
フレッドは、バーバラの境遇を救ってあげることが出来る立場にあるのだから…と
ついバーバラに同情してしまう私だ。

宝塚の男役だしサヨナラ公演だから、王子様的設定にしたのだろうか。
フレッドも、養父への義理とか、色々しがらみはあれど、本当に愛しているのならば、
王子様として、シンデレラを助けてあげればいいのになどと
余計なことを思ってしまう(苦笑)。

どうも、このあたりが今ひとつスッキリしないため、
美味しいとこ取りのフレッドに、感情移入できない私ではあったけれど、
概ね、好感の持てる青年ではあったと思う。

真面目で誠実で努力家で、まっすぐな青年。
自分の置かれた立場をわきまえてはいるが、何となく物足りなさも感じている。
過去の傷や翳りのない男って、ハリー作品の主人公には珍しいかも。

はっきりいって、でくのぼう的主人公ではあるが、
そんなフレッドに、わたるくんは見事に命を吹き込んでいた。

果たしてこのままの自分でいいのかという悩める青年像から、
バーバラに出会って生き生きとしていく様子、やきもちを妬いたり、感情を爆発させたり。
いい人を演じるのはなかなか難しいと思うのだが、
ただの朴念仁ではなく、大らかで温かみのある好青年になっていた。

フレッドの運命の相手である、バーバラ・となみちゃん。
うーーん、ショーガールという設定がちょっと厳しいかも…(笑)。
やはりおっとりしたとなみちゃんには、お嬢様キャラがふさわしい。

最初は丁寧な話し方だったのが、フレッドと親しくなるにつれて
はすっぱなしゃべり方になるのだが、それが妙に似合わない(苦笑)。
あすかちゃんなら、こういう役が似合うかもしれないと思った。

やはりバーバラを大富豪のお嬢様にして、フレッドを苦学生かなんかにした方が
良かったんじゃないかな(しつこい)。
お衣装も今ひとつだったし(ハリーにありがちな娘役は手抜き)。

フレッドの友人・アンソニーが、とうこちゃん。
頭の回転が速く、お調子者で口が達者。
フレッドとの凸凹コンビぶりも楽しく、なかなか魅力的な人物だ。
お芝居全体のムードメーカーでもある。
このお芝居の中で、もっとも正塚作品らしいキャラクター。

アンソニーがバーバラを気に入ったからこそ、フレッドも自分の思いに気づいたわけで、
お互いに張り合いながらも、最後はアンソニーもフレッドを応援するという筋書き。
ハリーお得意の男の友情(好きだけど<笑)。

「恋はアンフェア」と二人が掛け合いで歌う場面は秀逸。
お洒落だし音楽もいいし、この場面、何回も繰り返して観たいかも。

とうこちゃんは、達者な人だ。
「なんだなんだ?この空気は」
と、気まずい雰囲気のフレッドとバーバラの間に割ってはいる場面、
「こんなに感動したのは、海亀の産卵を見て以来だ」
とフレッドを茶化す場面など、台詞のタイミングや場の空気の読み方など
さすがだなあと唸ってしまった。

アンソニーが上手いからこそ、フレッドも引き立つわけで、
わたとうのコンビネーションの素晴らしさが、作品のクオリティを上げていたと思う。

サヨナラ公演でのトップと二番手が親友という設定は、
必然的に二人の絡みや、相手を思いやる台詞が多くなるので
しみじみできるし、心が温まるし、やはりいい。

で、その他の配役。

バンド・マネージャーで、バーバラに言い寄るフランク・ちえちゃん。
いつの間に、こんなに男っぽくなったのだろうか。
ちょっとヤクザなワルという役柄を、なかなか上手く演じていた。

船長役のしいちゃん。
生真面目で熱血な船長さん(笑)。真面目にやればやるほどコメディ。
避難訓練での張り切りぶりに笑えた~。相変わらず熱いなあ。

ブロードウェイのプロデューサー・オコーナーのすずみん。
海千山千のプロデューサーにしては、ちょっとお坊ちゃまな印象もあるが、
ドリー(うめちゃん)に振り回される色男?を好演。

自称女優?のドリーにうめちゃん。
うーーん、キレイだけどちょい痩せすぎでは~。
でも、なかなか目立つ美味しい役。

ハリー作品には不可欠のマヤさんは、フレッドのお目付け役の執事。
本当に上手い。この人がいると安心。なにか面白いことが起こりそうだと感じる。
で、毎回見事に期待に応えてくれる。
この作品での演技賞は、とうこちゃんとマヤさんだな。

で、もう一人、とっても気になる人が。
それは、ドリーのマネージャーのデイブ・和涼華くん。
「どうせ俺の気持ちなんて誰もわかっちゃくれないのさ」と
負のオーラを思い切り振りまきながら、斜に構えている。
なんか、そこだけどシリアスな別世界なり(笑)。

その他にも、ちょっとオカマなバレエ団団長・高央りおさんや
泥棒コンビのにしき愛さん(ヅラがステキ<笑)と朝峰ひかりさんや
夫・英真なおきさんと、妻・万里柚美さんと、夫の愛人・しのぶ紫さんなど
個性溢れるコメディキャラが多くて、見所満点のお芝居だった。

総じて言えば、ストーリーには多少の難点はあれど、
観終わった時には、「楽しかった」と思える舞台だったということだろうか。

最後はベタだなあと思ったが、ま、サヨナラだからこんなもんか。
ただ、「愛するには短すぎる」というお芝居のタイトルを台詞に入れるのは
あまりお洒落じゃないなあと思うんだけど。

でも、わたるくんの良さが出ていたから、
そういう意味では満足な作品ではあったと思う。

長くなったので、ショーは別口で。

2006/11/05 (SUN)

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