東宝ミュージカル「エリザベート」(内野トート&鈴木フランツ版)
- CATEGORYミュージカル・歌舞伎など
- PUBLISHED ON2004/ 04/ 18/ 23:15
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東宝「エリザベート」内野聖陽さんのトートを観てきた。
山口トートの歌を聴いた後だったので、実は内心ちょっと心配だったのだが、
とても良かった。
歌はさすがに山口祐一郎さんにはかなわないが、声はとてもいいし、
元々舞台出身の方だから、声の出し方の基本がしっかり出来ているのだろう。
艶のある声は、なかなか素晴らしかった。
噂に違わず、色っぽくフェロモン出しまくりのトート(笑)
「レミゼ」で演じたジャベールより、ずっと似合っていると感じた。
山口さんはどちらかと言うと陽のイメージなので、
威風堂々としたライオンのようなまさに「帝王」だが、
内野さんはやはり陰の人。密やかに暗闇に潜む黒豹という感じ…。
エリザベートに対する愛の表現も表情豊かで、伏目がちな眼差しがとても美しかった。
エリザベートがトート(死)に魅入られそうになるのも最もだと、心の中で頷いてしまった(笑)
一路さんはますます感情表現が豊かで、
自分の心を上手くコントロールできないもどかしさが、観ていてじわじわ伝わってきた。
私はやはり、二部以降の落ち着いたいわゆる中年以降のエリザベートが好きだ。
声も微妙に変えていて、本当に上手いと思った。
そして、なんと言っても今回の私の一番の注目は、鈴木綜馬さんのフランツ!
前回鈴木さんを観たのは「十二夜」の時だった。
もちろん、あの時も良かったが、やはりこのフランツ・ヨーゼフは、
彼の当たり役と言えるのではないだろうか?
まだ若かりし頃、母親の言いなりでいやいややって来た見合いの席で
エリザベートを見初めた時の輝くような表情から、
二人で自由に生きようと甘い結婚の夢を語るエリザベートを嗜める場面。
だんだんと夫婦がすれ違っていき、彼女を愛しながらも理解できないもどかしさへの表情。
豊かだった髪がだんだんと薄くなり、
反対にもみ上げが伸び髭が豊かになっていくメイクなど、もうすべてが完璧。
優しく美しくソフトな歌声は、まるでフランツの真面目で穏やかな性格そのまま
という感じだった。
「かえっておいで」と切なく歌うフランツを観て、
「こんなに愛されているのに、許してやれよ。エリザベートのオバカ!」などと、
心の中で毒づいていた私。
(でもまあ、浮気された上に病気までうつされては、無理かしら?)
宝塚版と違うのは、エリザベートが旅に出てしまってから、
フランツが母ゾフィーに決別宣言をするところ。
その後のゾフィーの独白と死の場面もとても好きだ。
さて、前回とキャストが違ったのは、ルドルフの浦井健治君。
彼もなかなか表情豊かで良かったけれど、ちょっとTVドラマ風かな?
パク・トンヒ君のほうが、品格があっていかにも「皇太子」というイメージにぴったりだった。
(来日3年の韓国の人だそうだが、知らなかったら日本人と思うくらい発音が完璧だった!)
でも、正直言えば、やっぱり井上芳雄くんが良かったなあ…。
今年の東宝ミュージカルは「エリザ組」と「ミス・サイゴン組」に分かれているようだ。
(井上君は、ミス・サイゴン組なので…。今井清隆さんも・笑)
間に「レミコン」もあるし、「エリザ」&「レミコン」、
「レミコン」&「ミス・サイゴン」を掛け持ちの役者さんたちは、大忙しだろうなあ…。
市村さんなど、「屋根の上のヴァイオリン弾き」で全国を回る役者さんもいるし…。
「エリザベート」も中日劇場(8月)・博多座(10月)・梅田コマ(11月)と
全国を回るので、きっと大勢のファンが観ることだろう。
あの電光掲示板も全国を巡るのかと思うと、ちょっとナンだが(苦笑)
やはり、名作の名に恥じない素晴らしい舞台だった。
カンパニーの皆さん、ありがとう…!
2004/04/18 (SUN)
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