90周年初観劇 宙組「白昼の稲妻/テンプテーション」
宝塚歌劇90周年という記念すべき年の初観劇、宙組「白昼の稲妻/テンプテーション」。
大劇場の花組公演に宙組トップコンビである和央ようか・花總まりが特別出演する関係上
東京はわずか1ヶ月の公演期間となった。
おまけに、各組の二番手が他組に特出するという企画の影響から、
水夏希のランブルーズ役を途中から安蘭けいが引き継ぐという変則キャスト。
(水夏希が雪組中日劇場公演に出演するため)
そのためこの公演のチケットは非常に入手困難な状況で、私も友人のおかげで
何とか水夏希ランブルーズ版を1回だけ観劇できることになった。
前置きが長くなったが、そんなわけで、たった1回の観劇を思い切り満喫しようと
やる気満々で日比谷に向かった私だった。
しかも、今回のお芝居「白昼の稲妻」は、脚本・柴田侑宏&演出・荻田浩一という
とても魅力的な顔合わせだ。うーーん、期待に胸が膨らむ。
で、感想なのだが……実は、よくわからない…(苦笑)
確かに話としては面白いような気もするが、なんだか単調というか散漫というか、
復讐劇にしては緊迫感が足りないような気がするし、ラストが安直な感じもする。
部分部分はいいお芝居だなあと思う場面もあるのだが、
全体的に見るとぼやけた印象しか残らないのだ。
そんなわけで、面白いのか面白くないかよく分からない…という
間抜けな感想になってしまった…。
ストーリーとしては破綻なく纏まっているのだけれど、どうもキャラに魅力が足りない気がする。
主役のアルベールは好青年だけれど何となくおとなしいのか大人なのか、よく分からない。
ヴィヴィアンヌは、復讐に燃えるヒロインなのに何だか悲壮感に欠ける。
アルベールの友人オーギュストは、キャラがアルベールとちょっと被っているし、
古着屋のローランもどういう人物でどういうキャラなのか書き込み不足。
ルネという薄幸の少年に至っては、出番が多い割には話の筋にまったく絡んでこない。
(そして、死んでしまう…)(なぜだ???)
というわけで、なんだか「?」ばかりが飛びかっていたような…(苦笑)
これも何回か見れば、疑問も氷解するのかもしれないが、たった1回では
よくわからないぞ…。
いや、私の単なる理解力不足なのかもしれないけれど…(正月ぼけ?)
でも宝塚はいちおう大衆演劇なんだから、できれば1回で理解できるお話に
してもらいたいものだ…。
何だかボロクソ書いているようだけれど、出演者の方々はそれぞれ
しっかりと自分の仕事をこなしていた。
アルベールのたかちゃんは、一見穏やかながらも内に情熱を秘めた貴族の青年を
好演していたし、ヴィヴィアンヌのはなちゃんは悲しみを秘めた可憐さが美しかった。
本当に絵に描いたようなカップル。
ただ、「お姫様と騎士」という感じなので、復讐劇には似つかわしくないような…。
現実感がないというのかなあ…。
ラストも「そして二人はいつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし」風だったし(笑)
この二人なら、もっと大人の恋を演じてもらいたい。
そうでなかったら、命がけの恋とか…。
同じ柴田作品ならヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」なんてどうだろうか?
(昔、ツレちゃん&モックさん(遥くらら)で上演した作品)
はなちゃん、結構ボーイッシュ系も行けそうな気がするんだけど。
話が逸れてしまったが、次はオーギュストのガイチ。
やはり何をやらせても達者な人だと思う。
ただ、オーギュストにガイチを当てるなんてなんだか勿体無い気がした。
演劇に情熱を燃やす若者で主人公の友人というような役なら、若手でも十分。
ガイチには、ガイチでないと…というような役をやってもらいたい。
そして「うーーーん、さすがはガイチだ!」と唸りたいのだ(ファンの我儘?)
私的には、結構クセのある役のガイチのほうが好きなんだけどなあ。
(「黒い瞳」とか「LUNA」のブライアン、「ガラスの風景」とか…)
ミズのランブルースは、私的には久しぶりに嵌った役。
(「八犬伝」は未見なので…すみません)
髭は似合っているし色気もあるし、なにより、いかにも裏で何か悪いことを
やっていそうなところがいい。
どうも私は「悪の華」が好きらしくて…(笑)
この役、ガイチでも観たかったなあと思う。
もちろん、ミズはすごくカッコイイ悪役だったし、満足しているけれど。
タニのローランは、ちょっと役とキャラが合っていないかなという感じ。
もう少し、翳りとか曰くありげな雰囲気が出せればもっと良くなると思う。
明るすぎるのかな?
でも、どこにいても本当に目立つしスターオーラを出している人だ。
うーーん、この役がミズでもよかったかも。
タニがガイチのやったオーギュストをやればいいんじゃないかな?
っていうか、それじゃあ「雨に唄えば」と同じか…(苦笑)
ギャランティーヌのポッポさん。
公爵の未亡人にして、ミズ演じるランブローズ侯爵の愛人。そしてサロンの女主人。
この酸いも甘いも噛み分けた大人の女をポッポさんはみごとに演じていた。
品があるし、知的で鷹揚な感じ。ドレスを着たときの身のこなしも美しく
さすが上級生…と思わせた。台詞の口跡がよく、とても聞き取りやすかった。
ベラの彩乃かなみちゃんも、なかなかの熱演。
ちょっと「マノン」を思い出させるファムファタール系。
歌はやはり素晴らしい。もう少し首から肩のラインがすっきりすると
とてもいいと思うのだが…(はなちゃんがいるからそう見えるのかも?)
若手では遼河はるひ・速水リキ・悠未ひろといった方々が活躍していたし、
美郷真也・寿つかさといった上級生もしっかり脇を締めてくれた。
うーーん、こうして思い出してみても、なかなかよいメンバーだと思うのに、
それを生かしきっていない脚本&演出だったような気がする。
装置や照明などは良かったし、プロローグや劇中劇の「オセロー」は
とても良かったと思うのだが…。
っていうか、もしかしてオギーったら「オセロー」だけに情熱注いでないか?(笑)
なんだかお芝居だけで延々と語ってしまったので、ショーは軽く。
良かった!宝塚を観たぞ~~!!という感じ。
あ、短すぎ?
でも良かったから…(笑)
どこ切っても、ゴージャスたかはなコンビだった。
ただし、ラテンの場面の衣装だけは理解不能(苦笑)
どうしてあんな訳のわからん色あわせになるんだろう?
タニちゃんの女役、どっちのお衣装もかなり変だったぞ。
(蛍光オレンジのドレスってどうよ?)
私が好きなのは、はなちゃんがブルーのドレスで
たかちゃんがやはりブルーのスパンをあしらった白タキシードの場面。
並んでいるだけで美しい二人~。
「インドシナ」は、お芝居仕立ての場面だが、私はここがかなり好きだ。
何となく郷愁を誘う歌も好きだし、このままお芝居にしても…と思った。
はなちゃん、お人形みたいに可愛いし、あひちゃんとの並びも綺麗だった。
熱愛のボレロももちろん良かったけれど、なにげに上手で踊る
すっしー&ポッポさんがアダルトですごく素敵だった。
あとはお約束の黒燕尾群舞。
大階段に縦二列にずらりと並んだ黒燕尾軍団。
先頭は水夏希&初風緑だ!カッコイイ~!!と、かなりファンモード炸裂で観てしまった。
その間を一人後から降りてくる和央ようか様…。スタイルいいよなあ……(呆然)
ここからデュエットダンスが、ショーのタイトルの「テンプテーション」で
やはり宝塚はボレロだなあ~とまたまた一人頷いてしまった(笑)
最後のパレードも華やかながらすっきりとした感じで、もう一度観たいと思うショーだった。
さすがベテラン岡田先生、上手く纏めているなあ。
最近の若い演出家の作品に比べると、ちょっとレトロな宝塚レビューという感じだが
やはり安心して観ていられる感じはある。
主題歌もお馴染み吉﨑先生で、ちょっと「ローズガーデン」に似ていた(笑)
初見の感想なのでこんな感じだが、
うーーん、やはりもう一回観たいなあと思った。
とうこちゃんのランブローズはどんな感じに仕上がるのだろうか?
ともあれ、後は他のみなさまの感想を楽しみに…。
今年もチケット難にめげす、とりあえず本公演だけは観ていきたいと思う私だ。
2004/01/07 (WED)
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