雪組「Romance de Paris/レ・コラージュ」
今週、2回にわたって雪組公演を観劇したのでその感想を…。
なにしろ雪組にはご贔屓男役さんが多いので、
ファンモードになってしまうのをお許しください(笑)
まず、お芝居。
なんだなんだ「ロマンス・ド・パリ」って…。「パリのロマンス」っていうこと?
なんだか全然気合の入っていないタイトルからして、ちょっとなあ~。
ポスターも全然気合が入ってないし…。
正塚作品ってポスターがいつも凝っていて、それがまた楽しみでもあったのに
今回はショーのポスターなのか~。
というわけで、実は観る前からこちらの方も全然気合が入っていなかった。
大劇場でも評判もそれほどでもなかったし、
まあ、ご贔屓さんが観られればいいやーーという感じで。
が…、蓋を開けてみたら…。
結構いいじゃん、うん、好きかも、こういうのって…。
今日なんか、ちょっとうるうるしちゃったし…。
まず、話に筋が通っているので、登場人物の行動が理解できるし
素直に物語の世界に入り込める。
色々なタイプのキャラが登場し、それぞれに共感できる部分がある。
まあ、これだけで十分です、私にとっては…(笑)
私の場合、キャラ(特に主役)に共感できる部分がないと、
今ひとつ舞台に乗れないタイプなので…。
幕開きは少し「凱旋門」を思い出させる感じだけれど、
主要なキャストが、現れては消えていくプロローグ、なかなかいい雰囲気だった。
その時点で、結構好きかも…なモードになる。
ヴァンサン(朝海ひかる)は、大会社の社長の息子でありながら、正妻の子ではないため
父の会社には関わらず、クラブのオーナーをしながら気楽に生きている。
そんな彼が、王女ナディアと出会ったことで、クーデター阻止の手伝いをすることになり
自分の生き方を見つめなおすことになる。
うーーん、正塚先生好みのキャラ(笑)いえ、私も好きだけど…。
そして、駐在武官のラシッド(樹里咲穂)と領事館付広報官のムジャヒド(貴城けい)が
友人同士でありながら対照的な人物として描かれている。
私はこの二人が大好きだ。
特に、銀橋でのやり取りは、二人の立場や見解の違いにより、緊迫していながらも
お互いを思う気持ちが垣間見えて、心を打つ。
「変わったな」
「君も変わったよ」
「軍にいて矛盾はないのか」
「国を守れなければ平和もない」
こういうやり取りから、「理想の果てに」という掛け合いの歌に入り、最後はコーラスになる。
お互い国を思う気持ちは同じはずなのに、
理想と現実の狭間でいつしか違う道を歩みはじめた
二人の生き方のコントラストが際立っていてとてもいい。
そして、もう一人の主要キャラ、ディディエ(壮一帆)
ヴァンサンの腹違いの姉のパトリシアの夫で、アラカト石油の社長。
石油の利権を一気に掌握しようという野望を持ち、
その為にクーデターを利用しようとしている。
野望達成のためには手段を選ばない男だが、結局クーデターは失敗し、裏帳簿も発覚。
会社に損害を与えたことにより、社長の座を追われることになる。
会社のためにこんなに尽くしてきたのにと嘆くディディエに、妻のパトリシアは
「あなたが働くのは自分の野心のためよ。
あなたは理想と野心の区別がついていないの」と諭す。
「会社」を「家族」に置き換えてみると、こういう勘違い夫って案外多いよなあ(苦笑)
でも最後は「あなたを愛しているの」というパトリシア。ああ、妻の鑑だわ…。
そんな人生に疲れたおじさん達の中で、未来に理想と希望を持っているディミトリ(音月桂)
ちゃっかりした現代っ子だけれど、意外と堅実な面もあり(?)物語のスパイスになっている。
結局、それぞれあるべき場所に落ち着き、また新たな人生を歩んでいくわけだが
ヴァンサンは「すべて終わる時にそっと振り返れば、風のように…」
一人で生きていくことを選ぶ。
この歌詞で、ちょっと宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を思い出してしまった。
「ホメラレモセズ クニモサレズ」というあたり…(笑)
正塚作品は、歌詞がとてもいい。
今回も、うんうん、そうなんだよ…と共感せずにはいられないような歌詞続出で
いや、いいんだけれど、宝塚の舞台としてはどうなんだ…なんて余計な心配まで…。
私は好きだから、いいんだけれどね。
父親の葬儀の後に歌うヴァンサンの「憂いのように時は流れる」の
「語り尽くせたのか 支え続けたのか 思いやりは足りていたのか」というくだりや
義理の兄ディディエとのやり取りの後の「微熱」の
「痛みよりも情けなさに熱くなる」というくだりなど、
人生そこそこ生きてきたおじさん達(いえ、おばさんもだけど)が感涙にむせびそうな歌詞で
うーーん、やはり侮れぬな正塚晴彦…という感じである。
いや、作品を語るだけでこんなに長くなってしまったわ。
(というか、男を語っていただけかも)次はキャスト行きます。
ヴァンサン(朝海ひかる)
とにかくスーツ似合いまくり。無条件でカッコイイ。
トップさんになったんだなあという印象を強く受けた。
ただ、ずっとそのまま街へ繰り出せそうな衣装だったのに、
デートの場面で突然宝塚ちっくなスーツになってしまったのが、少々唐突な印象。
歌も上手になったけれど、やや聞き辛いところもあるので頑張ってください。
でも、キャラ的にはすごく好きな男性だし、コムちゃんファンは通いまくりだろうなあ~。
ナディアに名前を呼んで欲しいと言われて優しく「ナディア」と言う場面、結構ツボ。
ナディア(舞風りら)
落ち着いて品のある王女様を好演。台詞の声も綺麗だし安心して観る事ができた。
ただの飾り物の王女様でなく、自分の立場をわきまえしっかりとした意思を持って行動する
ところも好感度高し。
「パリは…私にとって恋人のような街です」では、思わずうるうる…。
ラシッド(樹里咲穂)
いかにも軍人らしい、融通の利かない堅物で現実派。
でも心の中には熱いものを秘めている…。
かなり好きです、こういう男。お嫁さんにして…(笑)
樹里ちゃんは本当に達者な演技で、ラシッドという人物をみせてくれた。
ただ上っ面の上手さだけでなく、彼女の舞台に対する真摯な姿勢がラシッドの人間性まで
表していたような…。好きだなあ~~♪
ムジャヒド(貴城けい)
ちょっと出番的には少なくて気の毒な気もするけれど、天然なキャラを好演。
真面目に一生懸命やっているのに、やればやるほど間が悪いというか…(笑)
なかなか上手いです。間の取り方がとてもいいので、くすりと笑えます。品のいい笑い。
ボケキャラでもやっぱり綺麗…♪
ディディエ(壮一帆)
今回、かなり美味しいキャラです。壮ちゃん♪
野望達成のために悪事に手を染め、自分の才覚に溺れて最後は破滅する男。
うーーん、いいね~~(笑)好きだわーー!
壮ちゃんは、いかにも頭脳明晰なやり手社長という感じだが、
今ひとつ線が弱いんだけれど、それがかえってディディエの脆さを表していて
なかなか良かったかも…。
最後にパトリシアに縋りつく(そう見えた…笑)ところで、思わずホロリ…。
すべてを失っても、愛を見つけたからよかったわ、ディディエ。
パトリシア(白羽ゆり)
いやあ、いい奥さんぶりです。こんな奥さんがいたらいいのに…(笑)
まあ、夫を裏切ったとも言えなくもないけれど、結局はディディエを救ったと思うし。
となみちゃん、今回大ヒットです。落ちついた若奥様ぶりは素晴らしい。
特に声がね、美しいの~。しっとりと情感が漂っていて…。
今までも、綺麗な人だなあとは思っていたけれど、なかなかの演技派。
壮ちゃんとの美形カップルは本当にお似合いだった。
ディミトリ(音月桂)
物語の主要人物ではないけれど、おじさんたちの中でキラリと光る役どころ。
台詞もはっきりと聞き取りやすいし、まあ等身大の役じゃんと言われればそれまでだけど。
でもとても自然な演技で、ちょっと野郎系の男子って感じで良かった(大甘)
最後の将来の夢を語るシーンは、余計かな…という気もするけれど
ファンとしては、満足な出来かな。Pコート姿がカッコイイ!!
主要な役についてはこんな感じかな。
他のキャストについては、またおいおい…。
次はショー「レ・コラージュ」
こちらもなかなか良かった。
でも、作品としての評価は、まだまだ自分の中では定まらない。
取りあえず、「ご贔屓さんたちが歌って踊っているだけで幸せ」状態なので…(笑)
場面として好きなのは「記憶のコラージュ」かな?
樹里ちゃんの銀橋でのソロから始まる幻のようなダンスシーン。
ちょっと「パッサージュ」の「硝子の空の記憶」を思い出す。
ベージュ系の衣装&セットもシックだし、音楽も美しい。
あとは「波のコラージュ」のタイタニック号。
やはり、黒燕尾の総踊りは最高です。樹里ちゃんすっごくカッコイイ。
壮ちゃんの燕尾姿にうっとり~。
ああ、ここにかしげちゃん&桂ちゃんもいたらもっともっと至福の時なのに…。
(っていうか、どこ見たらいいの?状態かも)
この場面からデュエットダンスへの流れも大好き。
樹里ちゃんのソロ、素晴らしい!
あれだけ踊った後によく歌えるわ~。ああ、できればもうしばらく歌っていて欲しかった…。
白い衣装のデュエットダンスも美しくてよかった。
うーーん、やはりダンスコンビ!
他に印象的だったのは、リズムのコラージュのタンバリンの場面。
ああいう場面は楽しくて大好き。ただ、お衣装にもう一工夫欲しいかも。
そして、桂ちゃんファンとしては、バレエのコラージュのラッツキングも外せない。
音楽がかなり好みだし、桂ちゃんのラッツキングも弾けていていい感じ。
最近ますます男っぽくなって、私はもうクラクラ…(笑)
今のところ楽しく観られるショーだけれど、かしげちゃんの衣装に白が多すぎるかも。
全体として、衣装が今ひとつな気がするな…。
あり合わせを着せました…が多すぎるような感じで、バラバラな印象。
パレードは白&ブルーでとても綺麗だけれど…。
まあ、取りあえずは全体的な感想ということで…。
うーーん、やっぱり甘いかな?ご贔屓の組だし。
一応自分では冷静に書いたつもりなんだけれど。
ファンモード爆発な感想はまた次回ということで、初見&2回目の感想でした。
2003/11/14 (FRI)
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