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樹里咲穂コンサート「JUBILEE-S」

  • CATEGORY宝塚歌劇
  • PUBLISHED ON2003/ 10/ 16/ 22:05
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歌・ダンス・芝居…三拍子揃った男役、樹里咲穂。
そんな彼女の初リサイタルということで、期待いっぱいで会場の日本青年館へ…。
コンサートと銘打っているが、中身はミュージカル仕立てのショーという感じだった。

「JUBILEE」は“歓喜”という意味で、これは演出の藤井大介先生が
樹里咲穂に持っているイメージだそうだ。

ストーリーを簡単に説明すると、
NYの若いマフィアのJ-Boy(樹里)は、ボスの女に手を出したばかりに
組織から終われる羽目になり、逃げていくうちに、不思議な扉を通って
80年前の禁酒法時代のNYにタイムスリップしてしまう。
しけたクラブハウス「ライムライト」に掃除夫兼雑用係として雇われたJ-Boyは、
そこで出会った様々な人々と触れ合ううちに、忘れてかけていた何かを取り戻してゆく…。

現代に戻らず、ずっとこちらの世界で生きてゆきたいと願うJ-Boyだったが、
謎の老人に「それでは自分の時代での、本当にあるべき自分は取り戻せない」
と言われ、現代に戻ってやり直す決心をする。
そしてまた不思議な扉が現れて、彼はもとの時代に戻っていくのだが、
J-Boyが過去の世界で「ライムライト」の危機を救ったことにより
「ライムライト」は現代の世界でも素晴らしい場所になっていたのだった…。


最後のオチが、なかなか泣かせます。思わずじーーんとしてしまった…。
過去を変えることによって、未来の世界までも変わってしまうという
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいな話。

ハートウォーミングな物語だが、笑いも随所に盛り込まれ飽きさせない構成。
舞台がクラブなのも楽しい。
1部がミュージカル、2部は主にショー(劇中劇)という内容だった。

で、感想はというと、エンターテイナー・樹里咲穂の魅力全開!
彼女のショーマン(ショーガール?)ぶりは本当に素晴らしかった。
とにかくサービス精神旺盛!
「お客様を楽しませたい」という意欲が、いい意味で下級生にも影響を与え、
熱い舞台を創り上げていた。

樹里ぴょんは、歌を伸びやかな美声で聴かせ、切れいいのダンスは観ていて気持ちがいい。
そしてお芝居では、温かみのある自然な演技でJ-Boyを演じていた。
特に、ピンクのツナギに白いサロンエプロンをお洒落につけた姿が
何故かすごくカッコよくて、見惚れてしまった。
一見クールでヤクザな青年の、さりげない優しさや可愛らしさに、
思わずホロリとしたり笑ったり…。
研一の大月さゆ演じるミリーに、オヤジモードで恋してしまうJ-Boyが可笑しかった。

2部では、お店のショー場面になっていて、女役のジュリぴょんも観ることができた。
なんとダルマ姿!もうスタイル抜群で、歌も男役の時と同じ声なのにすごく自然。
彼女は男役にしては、声が高いほうだからかもしれない。
パンチの利いた歌声も聴いていて心地よかった。

そして、素晴らしかったのはジュリぴょんだけではなかった。
彼女を支えた雪組の下級生たちの活躍ぶりも見事!
全員、体当たりの演技で頑張っていた。

麻愛めぐる=ラブリー
 ゲイのお兄さんで「ライムライト」のオーナー兼マネージャー。
 もう、オネエ言葉&仕草の自然さには驚いた!
 これは、クレアトール・セナも負けると思う(笑)まさしく名演(大笑)
 とても芝居が達者で、ジュリぴょんと共に舞台を締めていた。
 宙組に組替えした美郷真也の後任は決定…という印象。

牧瀬海=ミスターX
 過去と未来を結ぶ謎の老人。しかし実は…?
 おじいさんの役を頑張って演じていた。
 ショー場面では綺麗だったし、ダンスが良かった。

聖れい=セイント
沙央くらま=クラーク
 売れない漫才コンビ・セイント&クラーク。
 ホントに、ダサくてさぶいギャグを連発(笑)
 主にお笑い担当だが、ジュリぴょんの関西弁のギャグには負けたかも(笑)
 だけど、なかなか好感が持てる二人だった。

舞咲りん=ベル
 クラブ「ライムライト」の花形ダンサーだが、ちょっと気まぐれで我儘なところも。
 でも、彼女にも人に言えない悩みがあり…。
 ダンスはとても上手だし、気が強そうで実はナイーブ…というお芝居も上手かった。

鳳稀かなめ=テリー
 「ライムライト」勤続15年(!)の売れない歌手。
 舞台に上がると緊張して、音を外してしまうのがネック(笑)
 綺麗な顔しているだけに、すごく可笑しかった!
 真面目にやればやるほど、笑いとってしまうという役(笑)
 衣装が………派手!!!(爆笑)

晴華みどり=ミス・ファイン
 美貌の地上げ屋(笑)「ライムライト」を潰そうとたくらむ。
 演技賞もの!ドスの利いた声での女ボスぶりは素晴らしかった。
 歌も上手いし、存在感のある女役ぶり!
 
緒月遠麻=トーマス
早花まこ=キャビィ
 二人ともミス・ファインの手下。
 トーマスは犬に育てられた犬人間で、キャビィはネコに育てられたネコ人間(笑)
 この二人には大爆笑!!!
 特にきたろうの犬ぶりは、快演(怪演?)といえよう(笑)
 黒づくめでガタイのいい身体にオールバック&黒のグラサン、しかも尻尾つき(爆)
 J-Boyにメロメロになっているボスを心配そうに見つめる忠犬ぶりが、異常に可笑しかった。
 早花キャビィは、今風の女の子なネコで、元気があって可愛かった。
 観ていても、楽しそうに演じていて良かったと思う。

大湖せしる=セシル
純矢ちとせ=ジャーニー
 二人とも「ライムライト」のバックダンサー。
 なのに、セシルは腰が悪くて踊れないし、
 ジャーニー(日本人)は、何をやっても日本舞踊の手になるという
 まったく使えない二人(笑)
 大湖セシルはとても綺麗だったし、純矢ジャーニーは研一とは思えないほどの活躍。
 ジャーニーの七三分けの髪型や生真面目な几帳面さが、
 いかにも「日本人」という感じですごく可笑しかった。
 声もよく通るし、笑った顔がとても可愛いかった。

大月さゆ=ミリー
 「ライムライト」で働くダンサー件ウエイトレス。
 J-Boyにほのかな思いを寄せる女の子。
 ちょっとガタイがいいけど、可愛いかった。
 お芝居も研一とは思えないほど、しっかりしていたし。きっととてもいい経験になったと思う。

とにかく、雪組勢最上級生の麻愛めぐるから研一の二人に至るまで、
全員にそれぞれにぴったりな役名&やりがいのあるキャラクターをもらって、
みんな、工夫をこらしながら、熱く弾けて演じていたと思う。
ジュリぴょんの演技の達者さや、何をやっても上手く受けてくれる安心感からか
下級生たちが伸び伸びと楽しそうだったので本当に好感が持てた。
ジュリぴょん慕われてるなあ…というのが、客席にいてももひしひしと感じるほど。

宝塚のコンサートは轟悠の「Stylish!」以来だったけれど
「Stylish!」がおそらく轟ファン以外にはつまらないであろうと思うのに比べ、
「JUBILEE-S」は誰が観ても楽しめる内容のショーだったので、
もう少し公演期間があっても良かったと思う。
たった3日間というのが本当にもったいないと思った。

幕が降りた後、心の中に温かいものが残るような、とてもよい舞台だった。

2003/10/16 (THU)


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