星組「王家に捧ぐ歌」初見
やっと行ってきたわ~。
星組新トップ(主演男役?)湖月わたる君お披露目公演「王家に捧ぐ歌」。
ではその感想をボチボチと…。
このお話は、古代エジプトを舞台に、敵国同士に生まれ合わせた恋人の悲劇を通じて
国家と個人の葛藤を描いたオペラ「アイーダ」が下敷きになっている。
お話としては、私の好きな話だ。
分かりやすいし、そんなにダレないし、眠くもならないし、よく出来た作品だと思う。
「戦いからは何も生まれない」という平和への願いや、愛を貫くラダメスとアイーダの姿は
宝塚の舞台にぴったりだと思った。
まずは、このお話を宝塚の舞台に乗せようと企画した木村先生の目の付け所のよさに脱帽。
しかも、それをさながら「エリザベート」のような歌で綴るミュージカルに
仕立てたところも凄い。 さすが木村先生!
私はやっぱりこの先生のチャレンジ精神が大好きだ。
ただ、あちこち突っ込みどころが満載なのも、確かではあったけど…(苦笑)
では、脚本&音楽の感想から。
導入部は重厚な感じで、ケロちゃんがルキーニばりに出てくるんだけど
(マジ、ここは「エリザ」っぽい!笑)
これからどんな話が始まるのだろうというワクワクさせる感じでとてもよかったのだが…。
「エジプトは領地を広げている」かな?
ラダメスが銀橋で歌うソロの曲が妙に今風で軽いのだ。
このあたりでちょっと違和感…。
つまり全般的に、曲調に統一感がない。
すごくいい曲も多いのに、妙に軽い曲やおかしなロックンロールがあったりして、
その辺がすごく残念。
特に「エジプトは強い」と「美人選び」だけは、何とかしてくれという感じだ。
マジで椅子からずり落ちそうになった…(苦笑)
あれは、「エリザ」で言えば「キッチュ」あたりを狙ったのだろうが
ちょっと勘弁して欲しい(泣)
せっかく感動して盛り上がっているのに、
突然の「すごつよ」であの振り付けでは、一気に盛り下がってしまう。
頼むよ木村先生&甲斐先生&竹邑先生!!!
戦争が終わった後のエジプトの民衆の堕落ぶりや拝金主義を描く場面を
コミカルな仕立てにしたかったのかもしれないが
ちょっとチープな場面になってしまっていた。
後は場面転換の音楽の繋ぎ方が、あまり良くない部分がいくつかあった。
でも、よい曲もとても多いので全体的には満足なんだけれどね。
次に振付について。
先にも書いた「すごつよ」と「美人選び」は、もし将来再演する場合は
絶対に手直しして欲しい。 フィナーレの「ヘイヘイ」もね!(苦笑)
そして、あのマイヤ・プリセツカヤ女史振付の凱旋場面だが、
今公演の目玉にしては、ややインパクトが薄すぎか。
ちょっとマスゲームのような感じで、段取り通り動いていますという印象が否めなかった。
オペラ「アイーダ」のスペクタクルな凱旋場面を意識してのことかも知れないが
うーーーん、わざわざ高いギャラ払って招聘したにしては…。
もっと別の演出でも良かったような気がする。
せめてバックにコーラスを入れるとかすればもう少し「歓喜の凱旋」に
相応しい場面になったかもしれないが。
出演者についてだが、それぞれのキャラには合っていたように思う。
わたる君は、誠実で男らしく凛々しい戦士だった。
ただ、「私は孤独だ」と歌う場面が幾つかあるので、
もう少し“孤独の翳り”のような微妙な味が出せればいいと思う。
いい人一本槍では、ちょっと人物に厚みが不足してしまうし。
演技的には、地下牢に入ってからのアイーダとのシーンが一番心を打った。
ああいう感情のほとばしる場面が上手い役者さんだ。
だんちゃんは体当たり演技。
ドスの効いた「うろたえてはなりません!」は、凄かった…。
とにかく豪華なお衣装を次々に着こなし、どれもよく似合っていたし、
ファラオの娘としてのプライドの高さや気品はよく出していたと思う。
最後の長台詞「私が生きている限り、エジプトは二度と戦いに挑んではなりません……云々」
は、感動的で心を打つものだった。
とうこアイーダは、台詞の声が綺麗ではっきり聞き取れるのがとてもよかった。
歌は、ファルセットがやはり弱いが、男役ということを考えるとこれは仕方がないと思う。
とうこちゃんがやっても駄目だったら、誰がやっても駄目だと思うから。
ただ、やたらと苛められたり地を這うような演技(振付)が多くて、気の毒。
いくら奴隷の身とはいえ、もともとはエチオピアの王女なのだから、
もう少し凛とした王女らしい場面も作ってあげて欲しかった。
あれでは生まれながらの奴隷に見えてしまうかも。
その他のキャストでは、ケロちゃんのウバルドが、良い出来だった。
祖国エチオピアの恨みを晴らし、ただエジプトを倒すことだけを考えている
ウバルドの誇り高さや 、憎むべき敵であるラダメスと恋に落ちた
アイーダを許せないという気持ちもよく伝わってきた。
全般的にエチオピアチームの方が、感情表現が豊かで
人数は少ないけれど、舞台全体に熱気を与えていたと思う。
エジプト兵の皆さん、ただ立ってるだけの人もいるのでもっと頑張って欲しい。
後は、チャルさんのファラオの歌はなかなかの聞きものだ。
一樹さんのエチオピア王もオペラでは大きな役どころで、これもまたうまかったが
もう少し策士的なところがあるともっと良かったかも。
そして、私の「星の王子様」まとぶん。
確かに「チョコボール」ではあったが、声は相変わらず良くて歌も上手いし、
予想よりは遥かに良かった。
演技に熱があるところがとても好感が持てるし、引くことも出来る人なので
これからがますます楽しみだ。
フィナーレのダンス(ターバン&変形燕尾)にはクラクラだった。
ターバンといえば(笑)やはりケロちゃん。
こちらはもう年季入ってるし、素敵すぎ!
メッシュに入った金髪がすごく似合ってて、やられてしまった…。
そして、だんちゃん。
アムネリス様の時は、堂々と歌ってたのに(態度はね。笑)
フィナーレナンバーになったとたん、いつもの自信なさげな表情に…。
「綺麗だから許してぇ」 (はいはい、おぢさんが許しましょう!笑)
「美しいものはいつも正しい」
それは、だんちゃんのためにある言葉かも…(笑)
まあ、全般的に言えば、もうちょい歌唱力が欲しいところで
コーラスはなかなか頑張っていたけれど、ソロに不安のある方もいるので
あともうひと踏ん張りして欲しい。
でも作品としては、荒削りながらかなり気に入った。
ただ、全体的に軽く感じる場面が多いので、もう少し重厚なつくりにしてくれたら
もっとずっといいんだけれどなあ。
でも、それは好みかもしれないので、まあ私の好みということで。
長々と取り留めのない感想を書いたが、なかなか楽しめた舞台だった。
木村先生&星組生徒さんに感謝!
2003/10/04 (SAT)
星組新トップ(主演男役?)湖月わたる君お披露目公演「王家に捧ぐ歌」。
ではその感想をボチボチと…。
このお話は、古代エジプトを舞台に、敵国同士に生まれ合わせた恋人の悲劇を通じて
国家と個人の葛藤を描いたオペラ「アイーダ」が下敷きになっている。
お話としては、私の好きな話だ。
分かりやすいし、そんなにダレないし、眠くもならないし、よく出来た作品だと思う。
「戦いからは何も生まれない」という平和への願いや、愛を貫くラダメスとアイーダの姿は
宝塚の舞台にぴったりだと思った。
まずは、このお話を宝塚の舞台に乗せようと企画した木村先生の目の付け所のよさに脱帽。
しかも、それをさながら「エリザベート」のような歌で綴るミュージカルに
仕立てたところも凄い。 さすが木村先生!
私はやっぱりこの先生のチャレンジ精神が大好きだ。
ただ、あちこち突っ込みどころが満載なのも、確かではあったけど…(苦笑)
では、脚本&音楽の感想から。
導入部は重厚な感じで、ケロちゃんがルキーニばりに出てくるんだけど
(マジ、ここは「エリザ」っぽい!笑)
これからどんな話が始まるのだろうというワクワクさせる感じでとてもよかったのだが…。
「エジプトは領地を広げている」かな?
ラダメスが銀橋で歌うソロの曲が妙に今風で軽いのだ。
このあたりでちょっと違和感…。
つまり全般的に、曲調に統一感がない。
すごくいい曲も多いのに、妙に軽い曲やおかしなロックンロールがあったりして、
その辺がすごく残念。
特に「エジプトは強い」と「美人選び」だけは、何とかしてくれという感じだ。
マジで椅子からずり落ちそうになった…(苦笑)
あれは、「エリザ」で言えば「キッチュ」あたりを狙ったのだろうが
ちょっと勘弁して欲しい(泣)
せっかく感動して盛り上がっているのに、
突然の「すごつよ」であの振り付けでは、一気に盛り下がってしまう。
頼むよ木村先生&甲斐先生&竹邑先生!!!
戦争が終わった後のエジプトの民衆の堕落ぶりや拝金主義を描く場面を
コミカルな仕立てにしたかったのかもしれないが
ちょっとチープな場面になってしまっていた。
後は場面転換の音楽の繋ぎ方が、あまり良くない部分がいくつかあった。
でも、よい曲もとても多いので全体的には満足なんだけれどね。
次に振付について。
先にも書いた「すごつよ」と「美人選び」は、もし将来再演する場合は
絶対に手直しして欲しい。 フィナーレの「ヘイヘイ」もね!(苦笑)
そして、あのマイヤ・プリセツカヤ女史振付の凱旋場面だが、
今公演の目玉にしては、ややインパクトが薄すぎか。
ちょっとマスゲームのような感じで、段取り通り動いていますという印象が否めなかった。
オペラ「アイーダ」のスペクタクルな凱旋場面を意識してのことかも知れないが
うーーーん、わざわざ高いギャラ払って招聘したにしては…。
もっと別の演出でも良かったような気がする。
せめてバックにコーラスを入れるとかすればもう少し「歓喜の凱旋」に
相応しい場面になったかもしれないが。
出演者についてだが、それぞれのキャラには合っていたように思う。
わたる君は、誠実で男らしく凛々しい戦士だった。
ただ、「私は孤独だ」と歌う場面が幾つかあるので、
もう少し“孤独の翳り”のような微妙な味が出せればいいと思う。
いい人一本槍では、ちょっと人物に厚みが不足してしまうし。
演技的には、地下牢に入ってからのアイーダとのシーンが一番心を打った。
ああいう感情のほとばしる場面が上手い役者さんだ。
だんちゃんは体当たり演技。
ドスの効いた「うろたえてはなりません!」は、凄かった…。
とにかく豪華なお衣装を次々に着こなし、どれもよく似合っていたし、
ファラオの娘としてのプライドの高さや気品はよく出していたと思う。
最後の長台詞「私が生きている限り、エジプトは二度と戦いに挑んではなりません……云々」
は、感動的で心を打つものだった。
とうこアイーダは、台詞の声が綺麗ではっきり聞き取れるのがとてもよかった。
歌は、ファルセットがやはり弱いが、男役ということを考えるとこれは仕方がないと思う。
とうこちゃんがやっても駄目だったら、誰がやっても駄目だと思うから。
ただ、やたらと苛められたり地を這うような演技(振付)が多くて、気の毒。
いくら奴隷の身とはいえ、もともとはエチオピアの王女なのだから、
もう少し凛とした王女らしい場面も作ってあげて欲しかった。
あれでは生まれながらの奴隷に見えてしまうかも。
その他のキャストでは、ケロちゃんのウバルドが、良い出来だった。
祖国エチオピアの恨みを晴らし、ただエジプトを倒すことだけを考えている
ウバルドの誇り高さや 、憎むべき敵であるラダメスと恋に落ちた
アイーダを許せないという気持ちもよく伝わってきた。
全般的にエチオピアチームの方が、感情表現が豊かで
人数は少ないけれど、舞台全体に熱気を与えていたと思う。
エジプト兵の皆さん、ただ立ってるだけの人もいるのでもっと頑張って欲しい。
後は、チャルさんのファラオの歌はなかなかの聞きものだ。
一樹さんのエチオピア王もオペラでは大きな役どころで、これもまたうまかったが
もう少し策士的なところがあるともっと良かったかも。
そして、私の「星の王子様」まとぶん。
確かに「チョコボール」ではあったが、声は相変わらず良くて歌も上手いし、
予想よりは遥かに良かった。
演技に熱があるところがとても好感が持てるし、引くことも出来る人なので
これからがますます楽しみだ。
フィナーレのダンス(ターバン&変形燕尾)にはクラクラだった。
ターバンといえば(笑)やはりケロちゃん。
こちらはもう年季入ってるし、素敵すぎ!
メッシュに入った金髪がすごく似合ってて、やられてしまった…。
そして、だんちゃん。
アムネリス様の時は、堂々と歌ってたのに(態度はね。笑)
フィナーレナンバーになったとたん、いつもの自信なさげな表情に…。
「綺麗だから許してぇ」 (はいはい、おぢさんが許しましょう!笑)
「美しいものはいつも正しい」
それは、だんちゃんのためにある言葉かも…(笑)
まあ、全般的に言えば、もうちょい歌唱力が欲しいところで
コーラスはなかなか頑張っていたけれど、ソロに不安のある方もいるので
あともうひと踏ん張りして欲しい。
でも作品としては、荒削りながらかなり気に入った。
ただ、全体的に軽く感じる場面が多いので、もう少し重厚なつくりにしてくれたら
もっとずっといいんだけれどなあ。
でも、それは好みかもしれないので、まあ私の好みということで。
長々と取り留めのない感想を書いたが、なかなか楽しめた舞台だった。
木村先生&星組生徒さんに感謝!
2003/10/04 (SAT)