花組雑感・その3 「時代劇スター・轟悠」
■轟悠は果たして本当に「日本物が似合う」のか…?の巻■
今回の花組公演は日本物である。
「轟悠=日本物が似合う」とは枕詞のようによく言われることだが、
実はこの私、常々その言葉に疑問を持っていた。
轟ファン暦は7年と、
ずっと小さい頃から彼女を観て応援してきたファンの方に比べればまだまだな私だが、
トップ就任少し前から雪組トップ引退まで、相当熱くディープにファンして来たと自負しているし、
雪組に来てからの作品は、ビデオを含めてほとんど観倒してきたので、
轟悠に関しては、かなり語れるつもりだ。
私が好きな轟悠は、なんと言ってもシンプルな黒燕尾とスーツである。
背はそう高くない…というより、はっきり言って小柄な方だと思うが、
それを感じさせないようなスーツの着こなしや、肩や腰のラインの美しさには
いつもうっとりしてしまう。
おまけに頭蓋骨の骨格が日本人離れしていて美しい人なので(笑)
男役の命とも言えるリーゼントやオールバックもめっぽう似合うのだ。
刈り上げたうなじもすっきり美しく、もみ上げも元から生えてるんじゃないか(笑)という位綺麗で、
スーツを着たとどちゃんを観ると、目の錯覚か、喉仏まで見えてくる始末だ。
で、日本物である。
私は日本物は嫌いではない。
まあ宝塚のお芝居で一番好きなのはやはり洋物のコスチューム物かな?という気がするが
日本物もコスチューム物の一種だし。
そこで、轟悠の日本物であるが、私が一番好きなのは「アナジ」だ。
まあ、例によって「皆殺しの谷」ではあるが、とどちゃん超カッコいいし、
「アナジと一緒にどこまでもどこまでも死んでいくアルよ」(おいおい…)な
陳雀霖@ハマコちゃんの台詞にさえ号泣してしまう、一種のカタルシスの得られる作品だと思う。
でも、あれはブーツが主で、もしかしたら所作的にはあまり日本物と言えないかもしれない。
「この恋は雲の涯まで」「あかねさす紫の花」や「春櫻賦」も同様で、
正統な日本物は、「浅茅が宿」や「忠臣蔵」、「雪之丞変化」くらいかも知れない。
確かに轟悠は日本物が巧い。
日舞で鍛えた所作の美しさ、特に重心がきっちり据わっているところや
手の動き、裾捌きなど、惚れ惚れする。
慣れないと、着物を着ていても棒立ちになってしまう人も多い中
轟悠はただ立っているだけでも美しい。
だが、「巧い」のと「似合う」のは、また別じゃないかと、最近思うのだ。
今年は歌舞伎400年の記念の年ということもあり、宝塚でも多くの組が日本物を上演している。
そういうわけで私も雪・月・花…と各組の日本物を観て来たが、
その中で、目が覚めるほど美しい!と思ったのは、
貴城けいの若衆&甲冑姿と、瀬奈じゅんの若衆姿だ。
貴城けいは、やはり日本物を多く上演してきた雪組育ちらしく、
お化粧から所作までどこをとっても美しい。
はんなりした柔らかさ、妖しさも十分である。
瀬奈じゅんは、はっきり言って所作や着物の着こなしはまだまだだと思うが、
なんってったって美しい。
あの美貌の若衆には大いに驚いた。
「宝塚のスターは、若衆が似合わなければならない」というのは、
私の友人のH氏が常々言っていることだが、私もその意見には同感である。
その点で、貴城けいも瀬奈じゅんも正に「宝塚らしい」スターと言えるだろう。
だが、花組公演で久々に轟悠の若衆を観たのだが、残念ながら似合わない……。
鬘のせいかとも思ったのだが、あの骨格のはっきりしたエキゾチックな顔には、
どうもはんなりした若衆はだめらしい。
写真ではそれほど感じなかったのに、生で観たらかなりショックだった。
うーーーーん……。
プロローグでこんな調子だったので、かなり落ち込んだのだったが、
お芝居はなかなか似合っていたと思う。
はんなりした若衆はいまひとつだったが、男らしい松平忠輝は上手かった。
そこで気づいたのは、「轟悠はサムライだ」ということだ。
「漢(おとこ)」と言ってもいいかもしれない。
凛々しく強く男らしい、大和魂を持った武士……そういう時代劇的な役なら
大いに似合うんじゃないだろうか?
あのちょっと一本調子な台詞回しも、それなら生きる気がする。
「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵など、すごく似合いそうである。
「独眼竜」伊達政宗なんかもよさそうだ。
極めつけは「新撰組」の土方歳三である。
うーーん、わかったぞ。
轟悠は「宝塚の時代劇スター」なのだ。
歌舞伎ではなく、映画である。
しかも、昔の映画というよりも(こっちはかなり宝塚的だし)
NHKの大河ドラマや金曜時代劇的なスターという感じかな?
東映ヤクザ映画路線も良さそうだ。(ちょっと方向ずれてるぞー)
任侠ものは、すごく似合いそうだ(だから方向が…笑)
(でも「西部警察」の渡哲也とか、かなり行けそうだよ!笑)
今まで「轟悠は日本物が似合う」……に何となく疑問を持って来たのだが、
やっとすっきりした気分だ。
若衆が似合わなくたっていいじゃないか!
宝塚のアウトローなスターとして、わが道を行ってくれたまへ!
(しかし、そんなとどちゃんが春日野先生の後継者というはどうなんだ……?苦笑)
まあいいや。
こうなったら、斬って斬って斬りまくる鬼の土方で、私を殺して欲しいものだ。
(ああ、観たいぜ……)
なんて思っていたら、なんと来年に日生劇場で春日野先生が演じた役をやるらしい……。
期待半分・不安半分というところだろうか?
とどちゃん、頑張ってくれ……!
2003/08/28 (THU)
今回の花組公演は日本物である。
「轟悠=日本物が似合う」とは枕詞のようによく言われることだが、
実はこの私、常々その言葉に疑問を持っていた。
轟ファン暦は7年と、
ずっと小さい頃から彼女を観て応援してきたファンの方に比べればまだまだな私だが、
トップ就任少し前から雪組トップ引退まで、相当熱くディープにファンして来たと自負しているし、
雪組に来てからの作品は、ビデオを含めてほとんど観倒してきたので、
轟悠に関しては、かなり語れるつもりだ。
私が好きな轟悠は、なんと言ってもシンプルな黒燕尾とスーツである。
背はそう高くない…というより、はっきり言って小柄な方だと思うが、
それを感じさせないようなスーツの着こなしや、肩や腰のラインの美しさには
いつもうっとりしてしまう。
おまけに頭蓋骨の骨格が日本人離れしていて美しい人なので(笑)
男役の命とも言えるリーゼントやオールバックもめっぽう似合うのだ。
刈り上げたうなじもすっきり美しく、もみ上げも元から生えてるんじゃないか(笑)という位綺麗で、
スーツを着たとどちゃんを観ると、目の錯覚か、喉仏まで見えてくる始末だ。
で、日本物である。
私は日本物は嫌いではない。
まあ宝塚のお芝居で一番好きなのはやはり洋物のコスチューム物かな?という気がするが
日本物もコスチューム物の一種だし。
そこで、轟悠の日本物であるが、私が一番好きなのは「アナジ」だ。
まあ、例によって「皆殺しの谷」ではあるが、とどちゃん超カッコいいし、
「アナジと一緒にどこまでもどこまでも死んでいくアルよ」(おいおい…)な
陳雀霖@ハマコちゃんの台詞にさえ号泣してしまう、一種のカタルシスの得られる作品だと思う。
でも、あれはブーツが主で、もしかしたら所作的にはあまり日本物と言えないかもしれない。
「この恋は雲の涯まで」「あかねさす紫の花」や「春櫻賦」も同様で、
正統な日本物は、「浅茅が宿」や「忠臣蔵」、「雪之丞変化」くらいかも知れない。
確かに轟悠は日本物が巧い。
日舞で鍛えた所作の美しさ、特に重心がきっちり据わっているところや
手の動き、裾捌きなど、惚れ惚れする。
慣れないと、着物を着ていても棒立ちになってしまう人も多い中
轟悠はただ立っているだけでも美しい。
だが、「巧い」のと「似合う」のは、また別じゃないかと、最近思うのだ。
今年は歌舞伎400年の記念の年ということもあり、宝塚でも多くの組が日本物を上演している。
そういうわけで私も雪・月・花…と各組の日本物を観て来たが、
その中で、目が覚めるほど美しい!と思ったのは、
貴城けいの若衆&甲冑姿と、瀬奈じゅんの若衆姿だ。
貴城けいは、やはり日本物を多く上演してきた雪組育ちらしく、
お化粧から所作までどこをとっても美しい。
はんなりした柔らかさ、妖しさも十分である。
瀬奈じゅんは、はっきり言って所作や着物の着こなしはまだまだだと思うが、
なんってったって美しい。
あの美貌の若衆には大いに驚いた。
「宝塚のスターは、若衆が似合わなければならない」というのは、
私の友人のH氏が常々言っていることだが、私もその意見には同感である。
その点で、貴城けいも瀬奈じゅんも正に「宝塚らしい」スターと言えるだろう。
だが、花組公演で久々に轟悠の若衆を観たのだが、残念ながら似合わない……。
鬘のせいかとも思ったのだが、あの骨格のはっきりしたエキゾチックな顔には、
どうもはんなりした若衆はだめらしい。
写真ではそれほど感じなかったのに、生で観たらかなりショックだった。
うーーーーん……。
プロローグでこんな調子だったので、かなり落ち込んだのだったが、
お芝居はなかなか似合っていたと思う。
はんなりした若衆はいまひとつだったが、男らしい松平忠輝は上手かった。
そこで気づいたのは、「轟悠はサムライだ」ということだ。
「漢(おとこ)」と言ってもいいかもしれない。
凛々しく強く男らしい、大和魂を持った武士……そういう時代劇的な役なら
大いに似合うんじゃないだろうか?
あのちょっと一本調子な台詞回しも、それなら生きる気がする。
「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵など、すごく似合いそうである。
「独眼竜」伊達政宗なんかもよさそうだ。
極めつけは「新撰組」の土方歳三である。
うーーん、わかったぞ。
轟悠は「宝塚の時代劇スター」なのだ。
歌舞伎ではなく、映画である。
しかも、昔の映画というよりも(こっちはかなり宝塚的だし)
NHKの大河ドラマや金曜時代劇的なスターという感じかな?
東映ヤクザ映画路線も良さそうだ。(ちょっと方向ずれてるぞー)
任侠ものは、すごく似合いそうだ(だから方向が…笑)
(でも「西部警察」の渡哲也とか、かなり行けそうだよ!笑)
今まで「轟悠は日本物が似合う」……に何となく疑問を持って来たのだが、
やっとすっきりした気分だ。
若衆が似合わなくたっていいじゃないか!
宝塚のアウトローなスターとして、わが道を行ってくれたまへ!
(しかし、そんなとどちゃんが春日野先生の後継者というはどうなんだ……?苦笑)
まあいいや。
こうなったら、斬って斬って斬りまくる鬼の土方で、私を殺して欲しいものだ。
(ああ、観たいぜ……)
なんて思っていたら、なんと来年に日生劇場で春日野先生が演じた役をやるらしい……。
期待半分・不安半分というところだろうか?
とどちゃん、頑張ってくれ……!
2003/08/28 (THU)
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