恩田陸さんの『夜の底は柔らかな幻』を読みました。
台風はどこへ行ったの?という感じの、猛暑です。
早朝は曇っていましたが、今は青空。
そして、蒸し暑い!
そろそろ梅雨明けなのかと思ったら、
来週の予報は、また曇りや雨。
やっぱり、平年並みに海の日前後なのかな?
さて、恩田陸さんの『夜の底は柔らかな幻』(上下)を
読みました。
恩田作品を読んだのは『夢違』以来。
私は、恩田さんの小説が大好きなので
ほとんどの作品を読んでいます。
もちろん、たまにはちょっと好みじゃなかったかも
…なものもありますが。
で、今回は、めちゃくちゃ好みでした。
読み始めて5分後くらいには、
「あー、こういうのが好きなのー!
私は、こういう世界が好きなの!!」と心躍らせました。
恩田作品の魅力は、
どこかあらぬところに連れて行ってくれることでしょうか。
現実とは違う、もうひとつの世界。
ミステリー、ファンタジー、SF、ホラーの要素が
少しずつ詰まってるところが好きです。
でもって、恩田作品を読むときの私なりの覚悟は、
ラストには期待しない…です(笑)。
別に、バッドエンドが多いとか、救いがないとか、
そういうのではなく、
回収しきれてない伏線があったり、
「え? これでラストなの?」的な意外さだったり、
尻切れトンボだったりすることがあるので(苦笑)。
すっごく悪く言えば、竜頭蛇尾っぽい時があるのです(汗)。
それでも、私は恩田陸の新作と聞けば
読まずにはいられません。
だって、どこかに連れて行かれるような
あの不思議な感覚、疾走感や浮遊感が大好きだから。
『夜の底は柔らかな幻』は、そんな作品でした。
以下、アマゾンの内容紹介-----------------------------
恩田陸が贈る、日本版・地獄の黙示録
犯罪者や暗殺者たちが住み、
国家権力さえ及ばぬ無法地帯である〈途鎖国〉。
特殊能力を持つ〈在色者〉たちがこの地の山深く集うとき、
創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とされる――
極悪人たちの狂乱の宴、壮大なダーク・ファンタジーを
お楽しみください。
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恩田さんの中では、かなりダークな作品です。
貴志祐介さんの『新世界より』を思い出しました。
私は、貴志作品も好きなので、全然OKですが、
残酷描写が苦手な方には、お勧めしません。
詳しい内容は、ネタバレになるので書きませんが、
賛否両論あるラストについて。
許せない、理解できないという方も多いようですが、
私は嫌じゃなかったです。
主人公以外の登場人物のほとんどが、
普通の感覚で書けば大量殺戮者なのですが
葛城という男、最後まで憎み切れなかったので。
悪魔のように怖いし、残酷だし、
嫌悪感を抱いてもよさそうなのに
なぜなんでしょうね。
上巻はかなり疾走感があったのですが、
下巻がやはり少し物足りなく、残念な気がします。
でも誰もが納得できるラストだと、
それはそれで陳腐と言われるかもしれないし、
恩田さん的にはバトルがメイン…という訳でもないだろうし、
(読んでみたかったけど)
わざと謎を残したのかもしれません。
それでも、読み終わった後に、
勝手に続編やら、スピンオフ(笑)やら、
違うラストを妄想してしまうくらい楽しめたので、
読者をどこか違う世界に連れて行ってくれるという
恩田クオリティは、十分発揮されているのかな。
設定からラストまで、
読者の想像に任せる部分が多い作品なので
そういうのが苦手、
または、分かりやすくないとイヤ…という方はダメかも。
これ、アニメにしたら、受けそうだなー。
実写は、残酷描写が怖過ぎて見られないかも。
でも、登場人物の誰もがキャラ立ちすごいので、
思わず配役を考えてしまいそう(笑)。
とりあえず青柳淳一は、ミッチーでお願いします(笑)。
本を読むのは好きなのですが、
感想を書きたくなる本って、めったに出合いません。
そういう意味でも、恩田陸さんは
私にとって貴重な作家さんです。
↓庭の花から。

アガパンサスです。
ピンク系の多い薔薇には、こういうブルーの宿根草が
よく合いますね。
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